平成24年1月19日(木)
鶴岡市金峰山麓の青龍寺に、解体前の「旧黄金村役場」を訪ねた

ちょうど1年前のことになる。
小説家「藤沢周平」の生地、鶴岡市高坂に近い「旧黄金村役場」が解体の危機にあるという情報を得た。黄金村役場は、昭和11年に建築され、時代の波にもまれて幾多の変遷の後ついに平成23年、解体が決定した。そして同年12月1日より翌年(平成24年)1月10日までの間、解体部材の譲渡希望者が募られた。

 結果として平成24年2月譲渡者が決定し、旧黄金村役場は解体。3月には鶴岡市の黒川地区へ部材が引き渡された。この間、わずか4ヶ月であった。しかも厳寒期であり、研究会として鶴岡を訪ねることは難しく、現地での最後の姿を記録することになった。昭和11年に誕生した黄金村役場は、建築物として76年の生涯を閉じた。
(記録者/結城玲子)

旧黄金村役場データ
1936(昭和11年)建設
木造2階建て瓦葺き外壁下見板張り 一部土蔵造り
延床 552u

明治22年 明治の大合併により黄金村誕生
明治24年 村役場完成
昭和 2年 藤沢周平、黄金村大字高坂に生まれる
昭和 9年 青龍寺尋常小学校入学
昭和11年 役場が擬洋風建築に建て替えられる
昭和17年 藤沢周平、黄金村国民学校高等科卒業後
      旧制鶴岡中学校夜間部入学
昭和18年 黄金村役場税務課書記補として勤務
昭和21年 役場を退職 山形師範学校入学
昭和30年 昭和の大合併により、役場は鶴岡市役所支所となる
昭和35年 鶴岡市黄金公民館となる
昭和53年 黄金コミュニティセンターとなる
平成 8年 建物としての利用が終わる
平成 9年 藤沢周平逝去
平成22年 藤沢周平記念館が鶴岡城址公園内に建設
平成23年 解体が決定 資材譲渡先募集
平成24年 譲渡先決定後解体

山寺ホテル正面入口

山形自動車道を下りて雪の中をひたすら車を走らせると、霊峰金峰山が見えて来る。細い道の先に白い建物が見えた。空気は冷たく、静謐な佇まいである。

山寺三番

旧役場の正面に、昭和の大合併を記す標識があった。昭和28年に町村合併促進法が施行され、昭和30年、黄金村は鶴岡市に合併された。以来平成8年まで、この建物は地区公民館として愛されて来た。

本館2階

旧黄金村役場を正面から見る。金峰山を背景にした擬洋風下見板張り。左右対称の、鶴が羽を広げたような優美で清楚な姿である。

2階客室

正面のペディメントを支える金具。昭和を彩ったデザインで、屋根は和風の瓦でありながら、洋風に拘った様子が窺える。移転先でも是非再生して戴きたい部分である。

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