11月27日(日)
上山市に蟹仙洞と製糸工場を見る (其の一)

上山市に製糸工場があることを知らなかった。建造物保存活動が続く古屋敷村では 養蚕が行われていたので、上山では養蚕が盛んだったことは容易に推測できる。上山市内には複数の製糸工場があったが、現在はこの長谷川製糸工場だけが残っているということである。上山市はかつて研究会で何度も訪れていたが、気づかなかった。しかしこの古い工場は、近代化産業遺産になりうると確信した。

上山駅前

お城をイメージした白壁の上山駅。温泉街とは反対側の降り口なので、初めて見る景色だ。10時に駅から歩いて出発した。

長谷川製糸所上山分工場

静かな住宅街を歩き、角を曲がると、塀に囲まれた斬新な三階建ての蔵が見えてくる。塀の中は古い木造の工場である。高い塀で囲まれているので、今まで気づかなか ったわけだ。

長谷川製糸所上山分工場外観

塀の外から工場の事務棟を撮影。高畠町にある長谷川製糸所の上山分工場として大正15年に建てられた。現在は、食品工場として大切に使われている。

長谷川家庭園

広大な敷地を囲む塀に沿って歩くと、長谷川家庭園の樹木が見えてくる。よく手入れされており、晩秋の気配をしみじみと感じる。かつては建物の裏手を小川が流れ ていたのだという。

アートスペース蔵ぶ

敷地内には現在もいくつかの蔵が残っている。この蔵は明治時代に建てられ、現在は【アートスペース蔵ぶ】として工芸品等を展示している。昭和期に製糸業を営んでいた長谷川謙三氏は、収集した美術品を公開するために私設博物館を建設し【蟹仙洞】かいせんどうと名付けた。

アートスペース蔵ぶ・展示室

庭園築山から大正時代に建てられた母屋と、切り妻洋館の展示室を見る。昭和26年開館。敷地内の建物は近年すべて登録有形文化財となった。さらに右手にはRCのモダンな展示室が接続されている。

アートスペース蔵ぶ・母屋

母屋は庭に面して廊下がまわり、硝子入りの雨戸が立てられている。雨の日も室内から庭を眺め、晴れた日は陽光が差し込む豊かな暮らしぶりが感じられる。

展示室茶の間

母屋の一部屋は、来館者に開放されている。昔なつかしい茶の間の雰囲気の中で、のんびり緑茶と上山まんじゅうをいただいた。